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いわゆる"アラブ-ゲリラ"のこと
久米 茂
1
1深夜通信
pp.55
発行日 1972年10月10日
Published Date 1972/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205158
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前号で,ミュンヘン五輪について少し書いた。締め切りの関係でいわゆる"アラブ-ゲリラ"が引き起こした事件にふれることができなかった。あれから2週間余りたった。しかしいまでもあの事件の意味するものが何であるのかよくわからない。その組織や背景,志向するものをふくめて理解しきれない。ジャーナリズムの解説や専門家と称する人間の講釈を幾つか読んでみたが,どうも要領をえない。この人びと自身もどうやら手さぐりで書いたりしゃべっているような気がしてならない。しかしこれを一概に責めたりけなしたりすることはできない。というのは,ユダヤ人問題は日本人になじまぬ事柄だからである。また同時に,国を喪失したり住む家や土地を外圧で奪われたりした経験が私たちにないからである。だから手さぐりの調子がつきまとうのだと考える。以下はその"手さぐり論"ととなり合わせ(?)の推理論である。
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