Medical Topics
光化学スモッグ
溝口 勲
1
1都立衛生研究所
pp.70-72
発行日 1972年7月10日
Published Date 1972/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205112
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はじめに
光化学スモッグが問題とされるとき,ひきあいにだされるのはロスアンゼルス型スモッグとして有名なロスの例である。1940年代の中ごろから,視程の減少,目がチカチカする,空咳がでるなどの症状の多発がロスアンゼルスでひどくなった。カリフォルニア工科大学のハーゲンスミットらの研究で,スモッグ時にはオゾンが多量に発生していること,そしてその発生機序は自動車排気ガスからの炭化水素と窒素酸化物の混在している条件において,紫外線が照射されて発生することが解明されたのは1950年代のはじめであった。そして光化学スモッグと名づけられたのである。この二次汚染物質の代表がオキシダントであるが,アルデヒド,ケトンなども大気中での光化学反応で発生,消滅していることも知られてきていた。
1970年7月,東京杉並の立正高校で運動中の女子高校生が光化学スモッグでの被害を受けてから,東京,大阪,名古屋等々の都会で光化学スモッグによる被害は続出している。光化学スモッグの指標であるオキシダント濃度も測定点がふえたためもあり,高濃度(東京では0.15ppm,大阪では0.1ppmをこえると注意報)発生回数は年々ましてきている。
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