第1特集 保健婦にとって看護とは
公衆衛生看護の機能を考える—相模原保健所の母子保健活動を通じて
三井 恂子
1
1神奈川県相模原保健所
pp.13-18
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205094
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はじめに
公衆衛生活動に看護の機能をもって参加している私ども保健婦にとって,看護の技術が重要であることは改めていうまでもないことと思いますが,日常行なっている業務をとおして考えてみたいと思います。
看護の概念が総合的になり,拡大されて,およそ人間のあるところに"看護"ありといわれるように,"健康"に基盤をおいた幅広いcareとして理解され,人間が社会生活を営むうえで起こる健康上の問題を解決するために,専門的にその人を支援することが看護であるともいわれております。臨床看護と公衆衛生看護と,おかれた立場は異なり,具体的な看護行為は異なったとしても,本質に差異はないといわれるのもこの概念に基づくものと思います。そして臨床看護活動と公衆衛生看護活動との違いは,おのおのがおかれた立場の違いから,前者は健康になんらかの異常がある場合および異常の疑いのある人々がおもな対象者となるので,医療に協力するための高度の専門的な技術と,施設内という限られた空間での援助が中心になると思います。また後者は地域社会という広がりのなかで,健康な人も健康に異常のある人も対象者となり,病気で悩む人の健康回復への援助と,更に予防的サービスが重要視され,そのためには個人の問題から家族,社会集団の問題として追及していく役割とがあると思います。
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