第28回日本公衆衛生学会総会シンポジウム
1.カネミ米ぬか油中毒の場合
吉村 健清
1
1九州大学医学部公衆衛生学教室
pp.4-8
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204936
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吉村 油症は座瘡様皮疹を主徴とする化学性食中毒の1つで,その原因物質は有機塩素剤である塩化ジフェニール(商品名:カネクロール)であります。このカネクロールは米糠油をつくるとき,脱臭を行なう段階で加熱媒体として使用されていたわけですが,昭和43年2月上旬に,脱臭パイプから漏れたカネクロールが食用油の中に大量に混入したため,その汚染された米糠油を摂った一般消費者約1,000名近くの人々が集団中毒を起こしたもので,これを正式には「塩化ジフェニール中毒症」と呼んでおります。
いまから,不幸にも私どもが経験しました油症事件の中から問題点をあげて,今後2度とこの種の中毒を起こさないためのいしずえとなればと思い,お話するわけですが,その前に若干,事件の経過を述べさせていただきたいと思います。(表1)
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