特集 住民に学ぶ
保健婦の感想
都市における保健婦の苦悩
関根 五月
1
1東京都中野北保健所
pp.42-44
発行日 1970年10月10日
Published Date 1970/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204772
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都市における保健婦の悩みは大きい。働らく意欲を持ちながらも厚い行政の壁に挾まれ,一方,個人的な力ではどうしようもない問題を抱え,手も足も出ない状態に失望し,若い人達は次々と職場を去る。そしてそれらは人口2〜3万人に1人の保健婦に重くのしかかり,保健婦不足をさらに深刻にしている。しかも,保健婦不足は慢性化し一向に増員される見込みもない。なぜ都市における保健所の保健婦がこうも嫌われるのであろうか。都市における公衆衛生看護の重要性を認識しながらもやめてゆく人が跡を絶たない理由は何であろうか。
その理由の1つとして,従来の保健所業務・役割のあり方に問題があるように思われる。保健所の役割はその存在する地域によって当然当然異なってくるべきはずのものであるのに,多少の差はあるにしても全国画一化された方向で一方的に押し進められ,現場の保健婦の声を聞くことはもとより,そこに住んでいる者がどんな問題を持っているか。また何を望んでいるかを知ろうともしないし,もし知ったとしてもそれを望んでいたような方向ではなく,全く違った方向で相談もなしに降りてくる。
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