精神衛生教育について

　昭和41年の春，精神衛生相談をはじめるようになった東京都A保健所に，母親に手をひかれた1人の中年女性の精神分裂病患者がやってきた。

　母親にきいてみると第二次大戦中に発病し，通院治療を受けさせたがそのとき行なわれた電撃ショックを患者がいやがるものだから受療中断させ，娘可愛さのあまりその後は在宅させたまま今日にいたったとのことである。たまたま保健所だよりを見た兄嫁が，精神衛生相談の案内記事に気づいて，20何年もたった今日だから何かいい治療法ができているかも知れないとすすめて来所のはこびとなった次第である。