特集 マスコミと保健活動
新聞からみた衛生思想の流れ
本田 一二
1
1大阪大学医学部公衆衛生学
pp.10-18
発行日 1969年1月10日
Published Date 1969/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204356
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西欧の学術文化や科学技術が,わが国へ本格的に移植され始めたのは,いまからざっと100年前である。同じころ,近代的な新聞がわが国にも芽生えた。初めて"新聞"という名を冠した「官板バタビヤ新聞」が文久2年(1862年)に発行され,わが国最初の日刊紙「横浜毎日新聞」が明治3年(1870年)に創刊されて以来,日本の新聞は近代的な文化や科学技術と形影あいともなって成長してきた。
アメリカの著名な新聞記者アーサー・ブリスベーンが言ったように「新聞は公共を反映する鏡である。その鏡に多かれ少かれ欠陥はあっても,なお鏡は鏡」である。世相を敏感に反映する新聞の記事や広告は,衛生思想の発達をも鏡のようにはっきりと写し出しているはずである。新聞に掲載された記事や広告をいとぐちにして,わが国の衛生思想がどういう姿で進歩してきたか,その足あとをたどってみよう。
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