特集 カゼをさぐる
カゼの家庭看護
大矢 仁美
1
1医事評論家
pp.33-36
発行日 1965年12月10日
Published Date 1965/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203521
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カゼは万病のもと
毎年厚生省から出される国民健康調査速報をみると,私たち日本人は1年間に1人平均2.3回,30.8日は病気かけがの状態で,実際に休むのは7.3日という数字がでております.またその病気けがの種類をみると,全体の35%がカゼを主体とした呼吸器系の疾患でもっともおおく,つぎが18.6%の消化器系疾患です.つまり日本人の病気の半分以上はカゼとハラコワシで,なかでもカゼはもっともポピュラーな病気というわけです.
このとおりポピュラーな病気とはいえ,昔から「カゼは万病のもと」といわれ気やすく考えないようにいましめられてまいりました.ところが私たちの日常をふりかえってみると,このいましめに反してひいた当人もまわりの人たちも「たかがカゼぐらいたいしたことはない」といった態度がなんとなく大勢を決定しているようです.たとえば,職場にある人はカゼぐらいで休んではもうしわけないとおもったり,農家のお嫁さんはなまけているとおもわれたくないとおもったりで,ついクシャミをしながらも仕事に精を出さざるをえないというのが現実です.またまわりの人も仕事ができるんだからたいしたことはないだろうと平気で用をいいつけるし,はては一杯つきあえ,アルコールでカゼのバイキンを消毒しろ,などという理不尽な誘惑者まであらわれるしまつです.たしかにカゼそのものは死にいたるヤマイではないかもしれません.
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