特集 慢性疾患患者と保健婦
退院患者のafter careと病院のextension serviceとの接点—よりよい保健指導をするために
岸 洋子
1
1岡山県立短期大学看護科
pp.27-32
発行日 1965年9月10日
Published Date 1965/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203460
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
最近のわが国の人口構成は死亡率と出生率の低下による中高年齢層の増大という傾向を呈している.また死亡を死因別に比較した場合,細菌感染性疾患のうち代表的な結核,赤痢などの減少により,現在は脳卒中,ガン,心臓病などの死亡率が上位を占めるに至っている.従って罹病の状況は中高年齢層の増加による脳卒中,ガン,心臓病などいわゆる成人病と称される諸疾患が注目されることになった.これら成人病に対してはとうぜんその共通する特性,すなわち成人期に多発する慢性疾患であり,しかもある程度の機能障害を残すかあるいは再発の危険性を有するなどの事実を考える時,十分な社会復帰を含めた疾病管理の問題が十分考慮される必要があるといえよう.最近厚生省から報告された成人病基礎調査によって指適されているように,衛生行政の立場からも重要な課題としてとり上げられつつあるといえよう.しかし現在はまだ基礎調査の段階にとどまっており,管理までには至っておらず慢性疾患の社会復帰としては,特定の疾患についてだけ医療機関内で独立の分野として検討されており,地域社会集団の受け入れ側との連けい上での管理活動には至っていないようである.
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.