保健婦の手記
貧乏成金
R子
pp.51-52
発行日 1961年12月10日
Published Date 1961/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202476
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看護学院卒業後すぐ保健婦学院,また卒業後すぐ東京都の保健所に勤めて2年過ぎようとしている近頃,ときどき何かいたたまれない感じを受けているとき,保健婦雑誌3月号の"保健所保健婦のあり方","保健婦にいいたいこと","私の保健婦業務","座談会 私達の職場",特に座談会は非常に興味深く読みました.私自身も進路選択のとき,保健所,国保,事業所,学校などのなかで,公衆衛生の第一線機関である保健所を選びました.それも代表的都市の東京都の保健所にはいりました.そして公衆衛生の基礎をしつかり身につけようと希望をもつていました.初めの1年間は,学んだ理論と現実を結びつけることより生まれて初めてお給料をもらつて働くことの責任の重大さを感じながら,現状の中にはいつていくことが精いつぱいでした.
2年目,ようやくこれで良かつたのかしらと自分のしてきたあとを,周囲を落ち着いてみつめることができました.学んできたこととはずいぶん違つていたし,また学んだことを実行することもむずかしい.機構だけはずいぶん整然とした中に,事実している仕事は,満足できないものが多い.なまじつか機構がととのい,多勢のひとびとがいるだけに,しやすいはずの仕事がしにくくなつていることにおどろくのです.同じ予防課に長いこと勤めているひとびとの中にも,保健婦の仕事を知らないといつても過言でないひとびとが多いことにおどろくのです.
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