編集者から読者へ
男をなぐりたくなる時
所沢 綾子
1
1編集部
pp.10
発行日 1961年9月10日
Published Date 1961/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202398
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「女が職場を去る時」という座談会が婦人公論の7月号に載つていた.最近職場を去つた第一線の女性,松田ふみ子,戸塚文子,十返千鶴子の三氏の座談会である.いうまでもなく,この三氏,働く女性のフロンティアとして,マス・コミの最前線を守つて来たベテランである.15年から25年もの間,職場生活をつづけて来たこのベテラン三氏が,最近相つづいて職場を放れた.さぞや堀り下げた女性の職場といういろいろの問題や壁が提出されているだろうと期待して読んだが,さすがベテラン,女性後続部隊のことを考えて,さらりと流してしまつている.しかも,「今の若い女の人達は女性的でしかも仕事も男性と同じように出来て,無造作に結婚している.三本建ぐらいのことを立派にやつている人がいる.そういう人を見たら,もうわがことなれりという気がしますよ」という言葉で終わつている.
たしかに,彼女達が職場に入つた当時のことを思えば,職場の中の女性感も,女性の待遇も変つて来ているだろう.先駆者の功あつてのことであれ,先駆者のして来た程の苦労を私達はしないですむようになつた,だが「女性であること」の限界は,自分自身の中よりは,はるかに周囲にありそうな気がする.なんと言つても"男性の職場"という印象は強い.
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