産業衛生講座
事業場保健婦と医療統計
梅沢 勉
1
1警視庁健康管理室
pp.67-72
発行日 1961年5月10日
Published Date 1961/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202335
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I.保健婦の活動範囲は広くなつてゆく
最近は"産業保健婦"という言葉がしばしば使われるようになり,そういう特別な教育指導を受けた人たちが作られているように思う人すらもある.試みに看護の歴史を調べてみると,保健婦の仕事は訪問看護からはじまつていることがわかる.大正3年,東京に児童相談所ができ,乳幼児の巡回訪問が行なわれたのがこの仕事のはじまりで,以来訪問を中心として活動し,地域活動,保健所活動の中核体となつた.戦後,職場で健康管理がはじめられ,その方面での保健婦の活動が必要となつたのは,職場の健康管理が,その職場特有の業務や疾病の管理を手掛けるまえに,すべての職場に共通の悩みである結核症と闘かわねばならなかつたことが大きな理由であつたといえる.
結核管理は,それが伝染病であるということ,早期発見,早期治療,適正指導が重要であることからは,地域であろうと,職場であろうと,その対策や管理の進め方に基本的には大差がない.それゆえ,地域での保健婦活動と事業場でのそれとは,そのありかたを変えずとも十分役立つてゆけた.
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