読者からの手紙
保健所保健婦より国保保健婦に移つて
中山 千代子
1
1茨城県水海道市国民保健
pp.9
発行日 1960年7月10日
Published Date 1960/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202121
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櫟林が新緑にぬりつぶされた現今,自分がここにあることが不思議な位大きな転換期を踏越えて来たんだとみつめるだけの余裕ができた。こうした交通の不便な土地に,流れてこようとは思つてみなかつたし,県職から市の吏員に至るまでも考えてみなかつた.保健所保健婦当時はこの上ない上司と同僚の中にあつてすべて新しい仕事の計画も提案も協力検討され実行の運びとなつた.あのとき,いかに上司の理解と同僚の仕事への協力とその人間性が大切かを思い出さずにはいられなかつた.とにかく保健所保健婦に於ける仕事は周囲の理解が大きいためスムーズに流れていかざるを得なかつた.そうした流れのうずの中にあつて国保保健婦自身をもこの渦の中に流しこもうとする保健所側とそうした環境にとまどう国保保健婦の姿が今はつきりとクローズアップされて来た.お互いに自分ではじめて体験して他人の立場を理解できるのであると思う.この渦の中に流しこもうとしたことに対して国保側の抵抗がいかに大きかつたかと今更胸苦しく思つた.保健所保健婦と国保保健婦の今後のあり方については随分検討されてきたようだ.しかしお互いに話合いながら,その結果において,どちらへの波紋が大きいだろうか.こうあるべきだと提示方向がなされても実際は保健所側に追いつくだけの国保側の力がないということがいえるのではないだろうか? いうまでもなく国保側のバックボーンが強力でなければそこまでにはいかないだろう.
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