--------------------
赤痢の統計
T
pp.36
発行日 1960年6月10日
Published Date 1960/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202108
- 有料閲覧
- 文献概要
最近のある雑誌に赤痢についての統計がのせられているので紹介する。近頃,日本でも伝染病は一般に減つて来ているといわれているが,この赤痢に関しては余り大きい顔は出来ない。アメリカやイギリスにくらべて,まだまだ罹患率は大きい。人口10万に対してアメリカが10人前後,イギリスが50人前後なのに日本は100人前後だからである。日本では明治以後この罹患率はだんだん低くなつていたものだが,大正10年頃からまた増加して最近ではまた明治の頃と同じ位になつている。しかし死亡率の方は,昭和14年頃から低下する一方で特に昭和27年頃からは特に低下した。いいかえれば,最近は赤痢にかかる人は多いのだが,これで死ぬ人は少くなつているというわけだ,やはり抗生物質が出来たおかげだろう。
昔から赤痢は夏の病気とされている。最近でもやはり夏に多いのだが,昔とちがつて冬でもかかる人が多くなつている傾向が出ている。そして,この不名誉な病気の多い地方は,昭和33年度の統計では,北海道,山形,愛知,山口,高知,福岡,宮崎,それに関東西部から信越の各県で反対に少いのは近畿東部岡山県,四国の一部となつている。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.