おたより
学会旅行
加藤 義緒
1
1大阪府岸和田保健所
pp.60
発行日 1960年1月10日
Published Date 1960/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202014
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私の学会参加は3度目である.大阪(13回)・福岡(14回)・新潟(15回)と回を増すにつれ,保健婦の参加数は多くなつているように思われる.詳しいことはわからないけれど,たしか名古屋(12回)の時から保健婦の問題が学会内で注目を浴びてきたと聞いている.大阪でも保健婦に関する分科会はあつたし,新潟でも独立したシンポジウムが持たれた.母子・結核の分科会でも保健婦の発表は多くあつた.学会での保健婦の発言は,それが公衆衛生専門家の集りであるだけに,共感も批判も大きい.私達はともすれば保健婦の枠に入りこみ,その中だけで物事を考えていこうとする傾向がある.それはそれでよい面もあるけれど,狭さを伴うこの傾向はあちこちで支障を起している場合もある.例えば保健所の中で本気で仕事をしているのは,保健婦だけだと信じこんでいる先輩保健婦もあり,もつと気持を大きく,他の職種と共同したらどうかと思われるふしもあるのである.
学会ではこの点の職種による差別はない.どの分科会で誰が発表してもよいわけである.そこへ保健婦の場も開けたことは,何と大きい収獲であつたろう.公衆衛生学会を育ててきた人達は進歩的なんだなと思う.
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