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中国旅行だより
木下 正一
pp.36-37
発行日 1958年12月1日
Published Date 1958/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201592
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北京には10日間滞在しました.1日,否,半日の休みもなしに,あちらこちら数々の見物,視察の連続でした.世界に名高い万里の長城を見に行つたのもその日程の中の1つです.一行中1人の女性と,少し体の弱い男性とは乗用車,私たちは専用のバス.朝の出発時間などもあんまり無理のないように9時と決める.こういう細い点まで私共の案内者は行届いた心使いを示し,私ども賓客の旅行中の健康を細かく心配してくれるのです.
北京の西北郊60キロ,バスで2時間あまりの八達嶺というところまで馳ると長城に到達します.道路は相当立派なドライブコースです.はじめは坦々,広漠たる平原をツツ走ります.見る限りよく耕してあります.ところどころで農民たちが働いている姿が見えますが,何処でも集団的に20人ぐらいの男女が働いていることが眼につきます.こういうのは所謂農村合作社というものの1つの特長なのです.農村合作社がもう1段進めば所謂コルホーズという形式に移り変つていくのでしよう.こんな風景にも新中国の共産主義への発展の姿が窺えるという訳です.
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