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琉球の公衆衛生看護事業について
金城 妙子
pp.33-35
発行日 1959年11月10日
Published Date 1959/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201969
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この度本誌に琉球の公衆衛生看護事業について,紹介する機会を与えて下さつた事を喜び御厚意を深謝致します.周知の通り琉球は今次の戦争後祖国日本と行政分離され,複雑な社会状勢下にありますので,すべての行政面がそうであると同様に,公衆衛生看護業務においても奇異な感を抱かれるような事が出て来るかと思います.公看業務について述べる前に琉球の概略を説明する必要があると思いますので簡単に記載したいと思います.
琉球は総面積238,822平方粁で64の島からなり,63の市町村に分れています.人口は1955年の国勢調査で801,065最近の調査によりますと86万人余と言われています.1957年の出生率24.5,死亡率5.3,自然増加は日本の14.4に対し,19.2,伝染病の発生状況は1位が性病,2位結核,3位鉤虫症,次いでインフルエンザマラリア,トラコーマと続いており,主要死亡因を見ますと1953年には下痢腸炎が1位にありましたが,1957年には8位に下り結核は4位から7位に,1958年は老衰が1位,全心臓疾患,中枢神経系血管損傷,悪性新生物,不慮の事故,肺炎の順になつております.結核患者登録数は1958年末で,16,533人,これに対する入院ベツト数は僅かに265しかなく(今年度末には692床になる予定)殆どの患者が家庭療養を余儀なくされています.
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