連載 助産所経営の手引き・3
助産所運営(3)
勝島 喜美
1
1公衆衛生院看護学部
pp.10-13
発行日 1961年10月1日
Published Date 1961/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202206
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3.助産所の構造・設備
助産所の構造・設備を研究する前に「分娩をした場所」即ち,産屋の変遷をたどつてみる.
大自然に支配されていた原始時代では,人類は一般の哺乳動物と同様に,交尾前期の月経期,それから妊娠期,産褥期,授乳期には静かなところへかくれて,絶対にオスを寄せつけなかつたにちがいない.これが月経の女や産褥の女のタブーのおこりである.つまり,男が血を恐れて女をさけたのではなく,女が生理的に男をさけたのであつたし,男もこういう時期の女へのいたわりの気持から,敬して遠ざけるという不文律をつくるようになつた.そこには,男と女の助け合いの感情があつた.このような理由で月経の女,産褥の女はそれぞれ特別な別屋にこもつた.これ等の別屋をそれぞれ月経小屋,産屋といつた.この産屋は,床に枯草あるいは莚の類を敷き,産褥中の食物は外部から運んでいた.
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