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保健婦自身の問題を考えてみよう—保健婦—Sさんへの手紙
田沼 肇
1
1法政大学大原社会問題研究所
pp.14-17
発行日 1958年4月10日
Published Date 1958/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201611
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たしか昭和28年秋のある晩だつたと記憶しますが,私は,日本看護協会保健婦部会の編集した「研究論文集」を読んでいました.そのとき,最初は自分の研究に必要な資料(貧困家庭の状況に関する)をノートするのが目的だつたのですが,保健婦自身の執筆した生々しいレポートをいくつか読みすすむうちに,それまでまつたく知らなかつた保健婦活動の社会的な重要性に気づきはじめたのです.こうした機会から,私は,保健婦の人々のあいだに研究上の友人をもちたい,と真剣に考えるようになりました.
Sさん――あなたが,保健婦活動のさまざまな問題を抱えて,私どもの研究所を訪ねてくださつたのは,ちようどその直後のことでした.私は,あなたから健康社会建設協会の活動などについて教わり,その機関誌も読むようになりました.そしてさらに多くの問題について,おたがいに勉強したいと希望していたのですが,それをほとんど果さないうちに,あなたは過労のため病気になつてしまいました.
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