私たちをささえるもの 手紙
3人の保健婦からS先生への手紙
pp.30-31,33
発行日 1963年1月10日
Published Date 1963/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202727
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〈その1〉
前略御免下さい.
先日一寸お話し申し上げました○○市退職条例中職員退職者臨時優遇措置条例の一部改正する条例が去る4日の市会で可決されたとの事であります.この改正条例によりますと男50歳,女45歳と差別されております.この事についておそまきながら今朝も議会事務局長とお話しあいいたしましたが,全然○○市においては保健婦を専門技術者として考えられておらず一般の女子職員と同様に取り扱うのだということを聞かされました.私としても恩給まで頑張るつもりで働いていたものを中途半端で退職する破目になつて老後の保障もなく真実に戸惑つております.誰もが一度は経験することであろうと思いますが,保障はされても仕事から去る心の淋しさをおもうと最近年と共に考えさせられます.後に続く保健婦さんは向後の憂いなく活躍出来る体制の中で働くことが一番の条件として就職時に考えるべきだと思います.私の経験より市町村に就職する保健婦は俸給など度外視して仕事に専念する心構えでないと上司との間がスムーズに行かないということです.就職時は県の御努力で一応給料面の調整はされても勤めている間に他の職員間で種々の摩擦がおこります.どうぞ新しい制度の学院を卒業して保健婦になられる方々は就職先をよく選ばれることだと思います.
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