2頁の知識
ザルコマイシンの知識
石山 功
1
1関東逓信病院
pp.40-41
発行日 1955年7月10日
Published Date 1955/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200984
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最近癌にたいする関心が大いに高まりつつある.それは戦後癌の死亡率が年とともに増加し,現在は結核を追いぬいて第二位にのしあがり,癌の死亡者は昭和29年には7万5千の多きにのぼるからであり,一方癌の治療に関する研究は着々と業績をあげて注目をひいているからである.癌という疾患は悲惨である.昔業病といわれた結核でも治りうる希望があつたが,癌にかかつた患者は丁度根をきりとられた植木のように必らず一定の期間の中にきまつた経過をたどつて死ぬのである。
手術は日進月歩し,例えば胃癌の手術では胃とともに癌におかされた膵臓や肝臓の一部さえも切りとられるようになり,さらに放射線による治療もアイソトープの出現によつて偉力をくわえたけれども癌は局所の疾患ではないのであり,執拗な再発という現実に余りにも屡々打ちのめされるので癌を薬で治したい望みは全人類の夢であり悲願なのである.
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