世界の波
SEATOとロカルノ
末松 満
pp.64-65
発行日 1954年9月10日
Published Date 1954/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200810
- 有料閲覧
- 文献概要
戰爭を終結させるには,150年前のヨーロッパならナポレオンを暗殺すればよく,360年前の朝鮮征伐なら豊臣秀吉を一刀兩断にすればよかった.「もう戰争はいやだ」と考えた人々が,7月20日を期してヒットラー総統をぶち殺そうと計画したのは10年前のことであり,その計画は失敗したが,今年もまた7月20日を期してインドシナ戰爭を終結させようと企てた男が現われ,これはみごとに成功した.その男の名ピエール・マンデス・フランス,47才のフランス首相である.昔とちがうから,戰爭の張本人を殺して解決するものではない.勇気と忍耐と政治力をしぼって,戰爭を止めたがらないアメリカを口説き,なんとか休戰までまとめ上げた武者ぶりは,独裁者を倒す以上にすばらしかった.
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.