保健婦の眼
女性の職場
pp.8
発行日 1953年2月10日
Published Date 1953/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200450
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最近ある官庁で機構改革が行われた.在来の係長制が廃止され,従来の課が総花式に部に昇格するという近来めずらしい改革であつた.ところがそのうち婦人職員が大半を占める或る課だけが据えおきを食い待望の部には昇格できなかつたのである.こうした措置は必ずしも女の職場なるが故に軽視されたとのみ解釈すべきものではなかろうが,在来女性を軽んじる美風のあるこの国の出来事であるだけに,女性の立場からすると釈然たらざるものも感じるのである.
現に昨日まで係長であつた23の婦人職員が,今日からは平課員にずり落ちるという悲劇を伴つているのである.外が全体的にせり上つているのであるから,これでは相対的に二重の意味の降職であるともいえる.たまたまこの課が終戦後の「申し子」であつたところから,いわゆる逆コースの飛ばつちりではないかとの臆測も生れたのである.折角拓けかかつた婦人の職域における希望が,こんなことで一沫の暗いかげをもつようになることは甚だ遺憾である.
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