書評
—中村好一(著)—基礎から学ぶ楽しい学会発表・論文執筆 第2版
村嶋 幸代
1
1大分県立看護科学大
pp.305
発行日 2022年3月20日
Published Date 2022/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213648
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読みやすく,楽しく,ためになる本である.著者の意欲と熱意,そして,適度な遊び心が伝わってくる好著である.学会発表から論文執筆に至る必要な事項とコツが具体的に解説されている.ソフトな語り口で,しかし,抑えておくべきポイントや忠告はしっかりと書いてある.保健活動を科学的なものにし,かつ知見を蓄積して効果的に実施していけるようにすべきだという著者の「想い」が伝わってくるような本である.
例えば,「第1部 研究の進め方」では,「なぜ,研究を行うのか」という基本的な問いから始まり,「指導者を得ることの重要性」が述べられている.同時に,倫理的配慮と「なぜ,学会発表/論文公表が必要なのか」が,納得のいくように記載されている.「第2部 主要4部分の書き方,まとめ方」では,緒言・方法・結果・考察の4部分と図表の作成について,書き方の順番,図表の効果的な活用方法,さらに「べからず集」もあり,著者の持つノウハウが豊富に提示されている.「第3部 学会発表」では,学会選び,抄録・スライド・ポスターの作成,口演とポスター発表の違い,発表原稿の作り方などが,また「第4部 論文執筆・刊行」では,投稿雑誌の選び方,投稿規定を読む重要性,編集委員会とのやりとり,さらに査読を依頼された場合の心得など,基本的で実用的な情報が満載である.「第5部 エピローグ」では,論文執筆の参考書籍も掲載され,有用である.時々に挟みこまれる「デッドセクション」では,著者のエスプリが表れている.楽しく読みながら,ポイントを学べ,実用にもなる本である.
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