特集 もう,家庭訪問で悩まない
何のために家庭訪問をするのか?―家庭訪問によって果たす援助機能
大木 幸子
1
,
森田 桂
2
1東京都八王子保健所保健サービス課
2東京都多摩立川保健所保健サービス課
pp.8-14
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100037
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訪問への迷い
学生時代の保健所実習で,家庭訪問に同行した経験はとても印象深かった。それまでの病棟実習では,患者さんたちに退院後の指導を行いながら,実際の生活とはかけ離れた「教科書的な指導」という気持ちがぬぐいきれなかった。それが家庭訪問では,生活の場面で患者さんや家族と一緒に考えることができる。生活の場での現実的な相談は,病棟でのもどかしさを一気に解決するように思えた。
一方,保健師になって数年たった頃,たまたま平日の自宅で,同じアパートの隣室に保健師が訪問するところに出くわした。その部屋には,最近赤ちゃんが誕生していた。その様子を察した時,ふと自分の部屋にこうして保健師が訪問に来ることを想像してみた。それは,ちょっとやっかいで面倒な気がした。さまざまな生活の細かい部分をごまかせず,さらけださざるをえない。普段の仕事で訪問をする側にある時の想像よりも,さらに実感を伴うわずらわしさであった。
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