和漢診療の実際・8
病因と表裏について
寺澤 捷年
1
1富山医科薬科大学附属病院和漢診療部
pp.930-933
発行日 1986年8月1日
Published Date 1986/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923085
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近年,和漢薬の成分の研究が飛躍的に進んできた.朝鮮人参の有効成分である人参サポニンの構造式を図1に示したが,これはほんの一例で,さらにさらに複雑な分子構造をしたものもたくさんある.現在の化学のレベルでは,実験室の試験管やフラスコの中では到底合成できないものが,自然界にはごく普通に存在している.まことに神の技としか言いようがない.
ただ,こういう化合物がなぜ,何のために植物の中にあるのかは不明である.朝鮮人参などは宿根草なので,土の中のウイルスやバクテリア,カビ,昆虫などから身を守っていく必要があり,こういう化合物もそのために役立っているようである.朝鮮人参に限らず,身近な野菜のホウレン草や葉菜類にしても,土に植わって生きている時はめったに腐るものではないが,抜き取ってポリ袋に入れた野菜は3-4日で腐ってしまう.
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