連載 ワットさんのペーシェントロジィ[今,患者が主役の時代]・19
Telling or Not Telling[2]
ワット 隆子
1
1あけぼの会
pp.1008-1011
発行日 1989年10月1日
Published Date 1989/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922385
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健康な人にがん患者の苦しみはわからない
今ここに,5年前の地方紙『北国新聞』(本社・金沢市)のコピーがある.そこには当時31歳だった元会員が死の直前に書き送った投稿が載っている.正確な日にちはわからないのだが,その新聞が特集した「がん宣告を考える」に寄せたもの.
「私は現在,夫と6歳になる息子に見守られて闘病している.3年前に手術,そして再発.がん宣告にあたっては,家族の温かく強い支え,医師と患者との深い信頼関係,そしてなにより本人の頑張ろうとする意思,の3拍子が揃っていることが条件.私もその条件のもとで,痛みと死の影を背負って頑張っている.ただ条件が揃っていても宣告のショックから立ち直れず,苦しみもがき,絶望の淵に立たされた多くの同病者との出会いと別れがあった」
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