研究と報告
シスプラチン投与症例における遅延型嘔気・嘔吐の頻度とそれを左右する因子の分析
岡田 久江
1
,
沢村 のり子
1
,
井上 征子
1
1国立がんセンター呼吸器内科
pp.76-80
発行日 1988年1月1日
Published Date 1988/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921901
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はじめに
近年癌化学療法の進歩により進行癌症例においても長期生存例が経験され始めている.しかし,抗癌剤投与に伴う消化器症状は癌患者にとり最大の苦痛である.ことに固型癌化学療法に頻用されるCis-Diammine dichloroplatinam(CDDP)は,投与時ほぼ全例に嘔気・嘔吐がみられる1).
私たちはCDDPを含む化学療法に伴う患者の嘔気・嘔吐を左右する因子を分析し,患者の不安軽減と食思増進を目的としたパンフレットを作成するなど適切な看護援助2)を行なうとともに,より効果的な制吐剤の使用法の研究を積み重ねることによりCDDP投与当日の嘔吐回数は有意に減少することを証明してきた,しかしCDDP投与翌日以降の遅延型の嘔吐に関する報告は文献的にもほとんどなく,重要な研究課題であると思われる.
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