連載 西村かおるの訪問看護留学記—英国編・11
—ボニイ*ハントリーでの実習日誌—スコットランドから愛をこめて・2
pp.1136-1139
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921862
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6月14日(日)晴れ雨そして曇り
アボインを出る.人々の優しい声と涙に送られて.縞猫ヘミッシュを思いきり抱いたら,私のトレーナーは彼の毛でセーターとなった.バスに乗ったら雨.緑のトンネルを抜けつつ,どうしてこんなに「さよなら」ばかり言い続けてるのだ?と自分に聞く.昨日,樵(きこり)さんたちに面倒みてやるから残れ!と本気で言われたことを思い出した.私の腕の筋肉をみて「充分だ」と言ってたっけ.1年も放浪しているとゼイタクとはわかっていても落ち着きたいと思う.がーんばね,と自分に言う.
アバディーンでバスを乗り換えてハントリーに向かう.景色はガラリと変わり,家畜のいる開けた丘と岩の山.三色弁当のような土,菜の花,草地.でも,もちろん美しい.ハントリーも小さな村で,今回は病院の宿舎に住む訪問看護婦のところに居侯することになっていた.彼女は実家に帰っていて留守.誰もいない家で1人でゆっくりバスを使い,テレビを見て寝る.
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