特集 新人に贈る99冊
“子供の死”を考える—『聖子は鳥になった』を通して
津田 茂子
1
1聖マリア学院短期大学看護学科
pp.457-460
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921711
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子供の医療の現場においても死の問題は日常的な出来事であり,私たち看護者は子供の死に至る過程で患者および家族とどうかかわれば良いか,常に模索している.ここに紹介する『聖子は鳥になった』(潮出版社)は,神経芽細胞腫に冒された子を持った母親が,子供と一緒に歩んだ死に至る2年あまりの闘病生活を回想したドキュメントである.
人生・発達の途上で,不治の病で死を余儀なくされた子供に出会った時,私たち看護者は彼らの残された人生において,子供たちが尊厳ある死への道を歩めるように,最大限の援助を試みようとするに違いない.しかしながら,私たちの多くは心理的援助を行なおうにも,何を,いつ,どんな手順で実行したら良いのか戸惑い,参照しようにもその具体的なプロトコールが見当たらないことに気付いている.
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