連載 自立のための援助論—セルフ・ヘルプ・グループに学ぶ・5
「一言でもいい,自己を表現しよう」—〈ユーテ・サークル〉の主宰者,喜田清さんに見る自立への歩み
久保 紘章
1
1四国学院大学
pp.1278-1283
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921568
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凛として,透明に生きている人がいる.悲しみや苦悩は自分の中に背負いこんで、周りには優しさと温かさを漂わせている.そういう人に出会うと,生きていてよかったと思う.しかしどうしてそんなに正面を向いて生きられるのだろう.そのひたむきさが,痛々しく,悲しくさえ感じることがある.そんなふうに思うのは,そう生きたいと望みながら,そうできない私の感傷のせいであろう.
こういう思いにかりたてられる人に出会うことは,そう多くはない.喜田清さんは,私にとって数少ないそういう人の1人である,「民衆の歴史は,民衆自身で掘り起こし,語り伝えていかねばならない」喜田清さんは,この言葉をよく口にし,本気でそれを実行している人である.
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