病む人々へのカウンセリング・20
生体エネルギー法の実際—カウンセリングの方法⑧
白井 幸子
1
1国立療養所多磨全生園
pp.1062-1065
発行日 1986年9月1日
Published Date 1986/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921523
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前回は,心と身体は一体であるという視点から,人間の心を理解するのに,身体面からアプローチした生体エネルギー法の理論をお話ししました.今回は,生体エネルギー法の具体的な内容を,A.ローエンの“躍動する健康への道(The Way to Vibrant Health)”に基づいて紹介することにしましょう.
生体エネルギー法は,人間の心を,身体と身体内のエネルギー両者の関係からとらえようとします,また,人は誰でも身体の内部に生体エネルギーと呼ばれるエネルギーを宿している,と考えています,このエネルギーは,絶えず生産され,流動し,放出されています.ところが,私たちがストレスを経験する時,身体に緊張感がもたらされます.通常この緊張感は,ストレスが取り去られると消え去りますが,あるストレスはそのまま残り,慢性の筋緊張となって身体内にとどまります.すると身体は硬くなり,エネルギーの自由な流動は妨げられます.身体に生じたこのような状況は,私たちの心のあり方にも影響を及ぼします子すなわち,身体が硬直し,エネルギーの流れがブロックされ,その自由な流動が妨げられる時,自由な感情の表現も制限され,生き生きとした自己表現ができなくなります.このような時私たちは,文字通り情緒的にも,身体的にもバランスをくずし,不安定な状態になります.
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