ぼけの臨床・15
ぼけの看護—ぼけの老人に接する際の基本的な姿勢
井上 修
1
1大阪警察病院神経科部
pp.814-817
発行日 1986年7月1日
Published Date 1986/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921470
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前号ではぼけの薬物療法について述べた.最近は向知性薬として,ての種の薬物の開発が熱心に行なわれているし,鈴川さん(仮名,VOl. 50, No. 6)のように著効を示した例もある.しかし,ぼけの薬物療法はやはりまだまだ不十分なものと言わざるを得ない.熟練した外科医がその辣腕(らつわん)をふるい,めざましい治療効果を上げることは多い.そして患者や家族から‘あの時ばかりは先生が神様のように見えました’と感謝される.残念ながらぼけの治療ではそんな機会に恵まれない.治療の甲斐もなく,全く改善の兆も見せないものや,むしろ私たちの努力を尻目に症状はどんどん悪くなることがしばしばである.てんな時は治療よりも看護・介護がより重要になる.CureよりCareである.そこで今回はぼけの看護について述べてみよう.
もちろん私たち医師は看護の各論に関しては素人である.こてではぼけの老人に接する時の基本的な姿勢の主なものについて触れたいと思う,またてれらは老人の臨床場面で私が感じた事柄ではあるが,決して目新しいものではなく,特異なものでもない.多くの専門家が感じ,同様の意見がいろんな書物に書かれているのも事実である.
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