ぼけの臨床・1
〈ぼけ〉とは何か
井上 修
1
1大阪警察病院神経科
pp.573-576
発行日 1985年5月1日
Published Date 1985/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921088
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はじめに
12月の初めのある日のことである.精神神経科の病棟で1人の痴呆患者のバルーンカテーテルの交換をしていた.その患者は76歳の女性.数年前,初回の脳梗塞によって左半身の不全麻痺が現れた.入院治療の結果,症状は軽くなり家庭での日常生活が可能になった.
しかし,その後何度か脳卒中発作を繰り返しているうちに脳の機能低下が進み,現在では寝たきりの状態で,食事にも介助を要し,失禁し,夜間ブツブツ独語をして同室患者の睡眠を妨げる.
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