ベッドサイドの看護
末期患者とのかかわり—激しい疼痛を伴うパンコースト型肺癌の事例を通して
石橋 多佳子
1
,
杉 京子
1
,
西井 光代
1
,
古瀬 清行
2
1国立療養所近畿中央病院東3病館
2国立療養所近畿中央病院内科
pp.295-299
発行日 1985年3月1日
Published Date 1985/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921027
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はじめに
近年,我が国においても肺癌発生率は著明な増加傾向を示し,10年ごとに2倍強の増加を示している.また悪性腫瘍死の中で肺癌死亡順位は,男子では胃癌についで第2位であり,女子では胃癌,子宮癌についで第3位を占めている.肺癌死亡は将来,胃癌死亡を追い抜くであろうと予測されている.その結果,日常臨床の場において,肺癌患者に遭遇する機会が増えてきており,その看護のあり方はきわめて重要な課題となってきている.
しかしながら現在のところ,肺癌の最も確実な治療法は外科的に病巣を取り除くことであるが,その切除率は全国平均で約20%と低く,大部分の症例が初診時,既に手術の対象とならない進行した状態であり,化学療法,放射線療法などで治療されている.しかし,これら内科的治療法では若干の延命効果は認めるものの,末期にはほとんどの症例で種々の臓器に転移をきたし死亡に至るのが現状で,はかばかしい改善をみていない.また経過中,難治性の頑固な疼痛を訴えることがきわめて多く,その対象は治療上,また看護上,重要なものとなっている.
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