研究と報告
冠動脈バイパス手術を受ける患者の心理的反応を探る
小田 宏子
1
1UCLA School of Nursing
pp.68-72
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920675
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はじめに
アメリカ合衆国(以下,アメリカと記す)における冠動脈疾患は,その高い罹患率と死亡率のために,ここ数十年,最も重大な健康上の問題の1つである.1980年,アメリカでは454万人の人が冠動脈疾患に罹患し,56万6900人が死亡,今日も454万人が心筋梗塞・狭心症とともに生きている.心筋梗塞・重症不整脈患者のためのCCU設置により,病院内死亡が約30%減少している一方,冠動脈バイパス手術は,1980年に13万5000人に施行され,たくさんの患者の生命を救い,かつ人生の質quality of lifeの向上の一端を担っている(AHA,1983).
初めての冠動脈バイパスは,1962年にDr. Sabistonによってなされたが,この患者は,術後3日目に,大動脈の移植部の凝血のために死亡した(Ochsner and Mills 1978).その後,手術手技の改善や麻酔学の進歩により,死亡率は1つの血管がおかされているone vessel disease場合2.2%,2つがおかされている場合two vessel diseascで6.8%,3つがおかされている場合three vessel diseaseが11.4%までに減少している(Ochsner and Mills 1978).
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