特集 老人看護—自立への受けとめ方のズレ
老人への看護的援助とはどんな働きかけか—今,老人看護の問題点はどこにあるか
榛葉 由枝
1
,
山本 桂子
1
1国立浜松病院
pp.1227-1233
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919990
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はじめに
老化はだれの身にもやってくる事実にもかかわらず,だれもが年齢や肉体の衰えなどの具体的事実に出会うまでは,このことについて事前に準備する人はまれである.
現在,我が国では65歳以上の老人が全人口の9.5%を超え,高齢化の傾向は急速に進んでいる.当病院にも老化に伴う病気で長期療養を続けている老人が増えつつある.その中で,症状が軽快しいわゆる病気が治った状態なのに,退院したがらない幾つかのケースに出会う.それに対して,私たちは家庭で生活することこそ一番良いことだと退院を勧めてきたが,結果的には家に帰った途端に寝たきりの生活に戻ってしまったり,家族が持て余して老人ホームに入れてしまったり,あるいは短期間のうちに再び同様の症状を訴えて入院して来ることが多い.
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