素手でつかむ看護 心に残るマラウイでの生活・12(最終回)
帰国を前にして
工藤 芙美子
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.1429
発行日 1982年12月1日
Published Date 1982/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919744
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2年間はあっという間に過ぎてしまった.神経性胃炎やマラリアに悩まされ,目まぐるしい毎日の仕事の中で,確かな生活の手ごたえを感じながら,充実した貴重な経験をすることができた.おいしかったかぼちゃの葉の煮物やシマ,ジャカランダ,メイフラワーの鮮やかさ,月の光の下で歩いた夜,ネオンのような光を放つ螢の群,田舎のスタッフの家を訪れた時,夜の山道を歩き谷を渡って案内してくれた2人のマラウイ人の親切,上着,スカート,ターバンという民族衣装を着て学生たちと踊ったセレモニー,トラックの荷台で揺れながら歌ったことが,忘れられない.
思いがけず着物を縫って‘オペラ皇帝'で歌って踊ったこともあった.帰国直前の送別会で学生たちは私がどのように働いていたかを演じてみせた.私自身気がついてなかった癖を驚くほどにとらえて,まるで全員が名優のように上手に演じ,みんなを大笑いさせた.
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