素手でつかむ看護 心に残るマラウイでの生活・5
Observation is important[1]
工藤 芙美子
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.589
発行日 1982年5月1日
Published Date 1982/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919562
- 有料閲覧
- 文献概要
最も患児数の多い月に仕事を始め,‘死にかけている’‘死んだ’という報告を聞くたびに,‘早く状態の変化を見つけることができれば助けることができたかもしれない’という反省とむなしさに泣いている私に,‘神が呼んだから死んだのですよ’と学生は慰めるように声をかける.
宗教の話はタブーであると聞かされていたが,彼らによるとすべて神のせいになるのだから,つい宗教論になってしまう.‘生と死’を自然のものとして受け入れる彼らにとって,心マッサージや口対口の人工呼吸をする私の姿はおかしく見えたかもしれない.冷ややかな視線を向けてさっさと後片付けをしていた.母親は泣き叫び,大の字になって床に伏し,泣き止むと死んだ子を背負ってとぼとぼ歩いて帰ってゆく.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.