バイタルサイン・25
慢性呼吸困難[1]
岡安 大仁
1
1日本大学医学部
pp.364-365
発行日 1982年4月1日
Published Date 1982/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919511
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慢性の呼吸困難とは,一般には数か月ないし1年以上の経過をもつ呼吸困難である.患者は,多くの場合,はじめは歩行時や階段上昇時に以前に比較して息切れがするようになったと自覚する.そして,その度合いがだんだん強くなり,平地歩行でも息切れするようになり,さらに悪くなると,安静にしていても息切れがすると訴えるようになる.もっとも,すべての慢性呼吸困難が,このような経過をたどるということではない.
労作性呼吸困難運動時に息切れがすることを労作性呼吸困難(exertional dyspnea)ともいう.労作の程度による差を知っておくと,患者の呼吸能力(肺機能といってもよい)がだいたい把握できるし,それによってケアの仕方や治療の評価ができるので都合がよい.ヒュージョーン(Hough-Jones;H. J.)分類というのがそれである表).さらに,労作と肺機能検査の数値とを比較したものもある(図1).この際の1秒率とは,図2に示すように,健康人が1秒間で一気に呼出できる量よりどれほど少ない量しか呼出できないかを示していることになる(対標準値).
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