素手でつかむ看護 心に残るマラウイでの生活・3
小児病棟
工藤 芙美子
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.349
発行日 1982年3月1日
Published Date 1982/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919509
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6月,7月は冬,と言っても1年中強い日射しは同じで,朝夕がぐっと冷え込み,最低気温が8℃くらいになることがある.日本ではこの寒さが信じられず,とうとうセーターを持ってこずに後で送ってもらった.私たちが暖炉の火を燃やしている時に,満員の家族用の家の周りの草むらには,沢山の人がチテンジと呼ばれる腰に巻く布1枚を,頭からすっぽりかぶって寝ている姿が,大きな石ころのようにぽつんぽつんと飲事場の残り火に白く映し出されていた.
希望した小児病棟での勤務が始まった。婦長とスタッフナース2名,8名の学生たちが雑然とした病棟で働いていた.ナースのいない学生だけの病棟もある中で,小児科だけはこの病院で一番多いスタッフが配置されている.初めて病院に足を踏み入れた時,想像どおりの悲惨な子供たちの姿が目に映った.
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