ナーシングホーム アメリカ合衆国の医療と看護の実態・2
医療従事者と入院患者
岡本 祐三
1
1阪南中央病院内科
pp.186-191
発行日 1980年2月1日
Published Date 1980/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918884
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医療費の増大とナーシングホームの発達
ナーシングホームが,この10年間に爆発的に増えてきているということですが,65歳以上の人々の人口に占める割合を見てみると,現在日本がだいたい8-9%,アメリカが11%ぐらいです.1960年ごろのアメリカが,だいたい8-9%だったということですが,この時既にアメリカではナーシングホームが50-55万床あったわけです.現在日本の特別養護老人ホーム(特養ホーム)が約5万床ありますから,20年前のアメリカの老年人口が現在の日本とほぼ同じ割合だったころ,既に日本の現在の特養ホームの総ベッド数の10倍,アメリカの総人口が日本の約2倍として,人口比で5倍のナーシングホームがあったことになります.現在では,もちろんこの差は,はるかに大きくなっています.アメリカで,いかにたくさんの老人用ベッドが用意されつつあったかということが,おわかりいただけるでしょう(表1).
このナーシングホームの非常な増加は,米国の医療政策の大方針であると申しましたが,つまり病院の費用がものすごく高くなったため,費用の格安なナーシングホームへ,患者をできるだけ移していくということですね.
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