特集 患者の反応をとらえられない時
手ごたえのない老人看護の中で
長浜 晴子
1
1東京都養育院付属病院
pp.940-944
発行日 1979年9月1日
Published Date 1979/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918767
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老人看護への動機
看護の世界から離れていたのは,結婚前後の,今からちょうど6年前のことである.再び就職を,と思ってはいたものの,どの分野へ進みたい,といった明確な考えは全くなかった.ところが,そのころ,家族に病人が重なり,奔走の日々をぎっかけに,考えさせられることがあった.
還暦を迎えた父は,前立腺肥大で入院.開腹手術を受けたため,術後の苦痛は見ているのもかわいそうであった.油汗を流しながら排尿を試みる父の姿は,娘心に焼き付き,今も脳裏から離れない.下の病気であり,母(53歳)もいることで,私はナースでありながらも一歩退き,直接的な世話は母の手によってなされた.
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