グラフ
ハンディに負けない意欲をもって—‘障害’を生きる本橋さん親子を訪ねて
岩下 守
1
1本誌編集室
pp.682-687
発行日 1979年7月1日
Published Date 1979/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918711
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原因不明,治療法もないとされる難病で,さまざまな障害をもちながらも,そのハンディに負けずに意欲的な生活を送っている人たちが数多くいる.ここで紹介する本橋雄作君もその1人である.非常に珍しい難病(スタージ・ウェーバー病)で,治療法もなく,生まれて間もなく‘5歳くらいまでしか生きられない’といわれたが,母親(澄子さん)の必死の看病によって元気に育ち,今年6月で満22歳の誕生日を迎えた.
生まれた時から顔の半分以上真っ赤な血管腫におおわれていて,そのほか脳の一部に石灰化がある,血液中のガンマグロブリンがゼロである,心臓に穴があいている,眼圧が高く失明するかもしれない,という5つもの病気が重なっていたという.成長したいまは,顔のアザと肥大した唇の血管腫が外見上目立つが,麻痺や知覚障害などの症状はほとんどない.しかし,今でも時々軽いけいれんが起こり右半身にシビレ感が走ったり,また一時狭まってきた後再び広がってきた視野が少し狭まったままであるなど,原因もよくわからないままに症状が出たりする病気であるだけに,今後の病状への無気味な不安はつねに付きまとっている.
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