くすりの毒性・7
サクシニールコリン—特異体質(イディオジンクラジー)
高橋 日出彦
1
1東京医科大学生理学科
pp.723
発行日 1976年7月1日
Published Date 1976/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917924
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薬の作用・毒性に大きな個体差のあることは,早くから気付かれていました.この個体差は遺伝的なものですが,これとは別に,一定の薬に一般のヒトには認められない特異な反応を示すヒトがいることが知られ,この現象をばく然と特異体質と呼んできました.
特異体質が実は遺伝性のもので,多くの場合,酵素の欠損や異常によるものであることが明らかにされたのは,比較的最近のことです.従って特異体質の問題は,薬の毒性というよりは,薬に対する反応の特異性によって曝露される遺伝的異常の問題となってきたわけです.こうして,特異体質の研究は,薬物遺伝学(pharmacogenetics)の誕生をうながすことにもなったのでした.
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