特集 問われる医療過誤・2—千葉大採血事件公判記録
公判記録より
第7回公判—昭和46年5月13日
井末 みよ子
pp.37-39
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917757
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第4回公判に引続き井末婦長への尋問は続く。
前回に比べやや足どりも重く,暗い表情の彼女を証人台に再び認めた時は,いっしゅん攻撃もひるむ思いがした。なぜなら井末婦長の存在はまさにわれわれの投影図にすぎないことをわれわれ自身一人一人がはっきり確認しているからである。また彼女の一言一言の証言は看護婦の歴史そのものの証言といっても過言ではないであろう。
このような井末婦長の証言に対し,千葉大病院看護婦の最高責任者である星野総婦長は「彼女は動脈硬化があるのでしかたがない!「彼女は特別だめな婦長だ」との意味あいのことをふいちょうして歩いている。しかしこのような総婦長の幻想は重なる公判のなかではっきりと打ち砕かれることはもはや明確だ。もし井末婦長にひとつ欠けていたものがあるとすれば,それは小細工する能力をもちあわせていなかったことに過ぎないのだ。
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