性格の異常・12
異常とは何か
浜田 晋
1
1浜田クリニック
pp.399-402
発行日 1975年4月1日
Published Date 1975/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917230
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量的な異常
前号では量的な異常として平均値からのズレについて述べましたが,次に知能について正常と異常の成り立ち,在り方を考えてみましょう.もっとも知能には色々な意味があって,本能と対比されたり,また感情や意志と区別されたりします.物事を認識し理解し判断する能力そのもの,すなわち心的機能のある‘形態’を意味したり,またその能力の程度──すなわち,あの人は賢いとかばかだとかいう賢さの‘度合い’を指したりします.後者の場合には物差しが必要となります.
人間のような複雑な心の働きの程度を量的に計測することはとても難しいことで,しばしばかえって誤った判断をしてしまうのですが,古くからこの知能を測定する知能検査なるものがあります.I.Q.として数量化されています.ある1つの知能テストを,多数の人について年齢別に測定し,まとめて知能指数をだし,その頻度を示しますと,図のようになります.ほぼ正規分布をなし,I.Q.100ぐらいのものが世の中には最も多くて,その両端によった少数部分か異常ということになります.
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