連載 看護の原点“助力論”・6
援助の実際的方法の再検討(1)
大段 智亮
1
1看護人間学教室
pp.758-764
発行日 1973年6月1日
Published Date 1973/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916680
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新しく“関係”をつくり出す仕事
助力論の立場からみると,われわれ現代の人間と社会は,あらゆる次元において‘対人的援助能力’というものを失ってしまっています,専門家はむしろその専門性において‘人間相手’のなかみを失い‘助力の方法’を誤っています.一般大衆は基盤と根拠のなくなっている‘常識’に支配され,破れゆく人間関係をいよいよ破ってゆく方向に走っていて,気がつきません.
結果,物質的にはきわめて豊富でありながら,なんともいえず寂しい社会が出現しています.人間がいっぱい満ちあふれながら,その間になんのつながりもない.むしろ拒絶,疎遠,無関係といった一種ふしぎな孤立感の時代なのです.
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