2色ページ 臨床薬理学・13
腎臓と薬剤
保刈 成男
1
1日大医学部薬理学教室
pp.86-89
発行日 1973年1月1日
Published Date 1973/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916552
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
生体にとって薬剤異物で,絶対安全といえるものはなく,本質的には毒物ともいえる.このような薬剤が医療に供されているのは,その毒性が発現せず,しかも生体に好都合に働くような用量を経験的に上手にえらんで使用しているからである.この用量を一般に薬用量あるいは常用量とよんでいるが,これはあくまでも経験的,平均的なものであって,投薬に際しての各種の条件,たとえば年齢・性・体重・個人差,疾患の種類・程度,併用薬剤の有無などによって著しく左右される(本誌昭47,1〜2月号参照).
したがって薬剤使用にあたっては,これらの条件を考慮にいれた上で,使用方法および用量が検討されなければならない.またその薬剤の分解および排出経路を知ることも大切である.肝臓がその分解経路の,また腎臓が排出経路の主役をなしていることは説明の要もないが,これらの臓器の機能障害のある場合,あるいは投与薬剤によって障害されたような場合には当然その障害の程度によって使用方法・用量を加減しなければならない.本稿では以上のことから薬剤と腎臓との関係について‘薬剤による腎障害’と‘腎障害時の薬剤使用’について述べることにする.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.