Medical Topice
母乳と農薬汚染,他
E.M.
pp.88-89
発行日 1971年10月1日
Published Date 1971/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916155
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最近の厚生省の調査によって,わが国の授乳婦の母乳がきわめて高率に汚染されていることがわかった。とくにβ-BHCとDDTは,調査した480例の母親中100%に検出され,ディルドリンも77.3%にみいだされた。この結果は厚生省当局のみならず,全国民,とくに授乳中の母親にかなり強いショックを与えたことはいうまでもない。
農薬の汚染度には地域的に差があるが,それは必ずしも農村地帯に多いとは限らず,むしろ残留濃度の高い母乳例には,牛肉や牛乳を日常多く摂取している傾向があること,都市住宅地域に住む婦人に多いことがわかった。これは農薬の汚染は撒布薬を直接呼吸して体内にとりいれること,農薬の付着した農作物や果実を摂取することよりも,牛肉や牛乳をはじめ,豚・鶏・魚などの肉を通じてとりいれられることのほうが,もっと大きな原因になっていることを示している。
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